第六十二段 うつろふのに
成長と共にアンタッチャブル・インコになってしまった梅蔵君。
ナマイキ盛りも手伝って、一時はカイカイすらさせてくれなくなってしまった。
このままいったら、巷に聞く「全く触らせてくれないインコ」になってしまうだろう。
イザというときにも捕まらず、病気になったり怪我をしたりしたときにとても困るという。
なにより、かぐわしき「くさいい臭い」も嗅げず、犬より猫よりでかいオウムよりすばらしい梅蔵の「究極の羽毛」を永久に堪能できなくなってしまうのだ。
それはとても悲しい。
ここで理系アタマあんど発明家のダンナ登場。
曰く、「梅蔵の愛するふうりんちゃんでカイカイしたらどうだろう。」
これは大成功だった。
指を向けると「カカカッ」と怒りの突きを食らわす梅蔵君も、
ふうりんちゃんを向けるとぷっくりとアゴを膨らめ、
うっとりとカイカイをさせるようになったのだ。
うっとり堪能しているところで、カイカイ手段をそーっとふうりんちゃんから指に変える。
シングルタスクな梅蔵君は全く気づかず、
結果、指でのカイカイが成功する。
あっ、ふうりんちゃんじゃないじゃん、って気づかれると、
そこで終わっちゃうんだけどね。
しかも、イヤそ〜に。
ちなみに、
「ふうりんちゃんでカイカイ」は、ダンナの特許取得だそうなので、
使用する際は特許料が発生することをお忘れなく。