第四段 てづからゑばむ

この病院では、決められた時間に面会ができる。

心配でたまらなかった一日目、 とりあえず梅蔵ちゃんは、素人目には元気そうで、 床にちらばっている殻付き餌を 一生懸命ついばんでいた。 (まだ、食べられはしないようだけど。)
そして、私たちに気づくと、走り寄ってきて、 ガラス越しに吐き戻すような仕草をみせた。
まだこんな短い間しか一緒にいないのに、 私たちを覚えていてくれたこと、 ガキンチョのくせに吐き戻しまでしてくれたことが、 じ〜んと目頭を熱くさせる。

入院三日目、 梅蔵ちゃんは、バリバリ食べていた。
もう、オトナの餌(殻付き餌)をバリバリ、バリバリ、食べていた。
先生にお話を伺う。
鳥病院の先生といえどもヒナにさし餌は久しぶりで、 毎日がちょっと楽しみだったそうだ。
入院3日目、「さあ、今日もさし餌するぞ♪」とはりきって出勤なさったら、 「いやもう、自分で食えますんで。」 と拒否されてしまったらしい。
ほら、ひとり餌にするのに苦労する、とか言う話をよく聞くじゃないですか。
甘えんぼのオカメちゃんとかさ。
うちの梅蔵は、生後1ヶ月も経たないうちに、さっさと自立してしまった。
しかも、入院中に。なんのグレーゾーンも持たず。
私のあこがれのさし餌は、入院前の3日間をもって強制終了したのだった。(泣)


追。
3日目は、私たちのことを思い出すのにずいぶん時間がかかったようだ。
5日も会わなければ、きっと覚えていないに違いない。
所詮とりあたま、そんなに記憶は長く続かないんだな。 初日の私の涙を返せ。

そして、イラスト中の、「また似るのか?飼い主に」 というくだりは、 前に飼っていた愛犬シェリーも、大変な食いしん坊で、 大食漢なダンナに似たと思われることからきている。
うちの生き物はみんな(人間も含めて)、食い意地が張っているようだ。