第八段 おぼつかなし

とりあえず退院はさせてもらったものの、 ウンチもそのうの状態も良くない梅蔵ちゃんは、 いわゆる「自宅療養」の身だ。
外出禁止はもちろん、 飲み水にはお薬、 ケースの温度は35度を保たねばならない。
こうなると、私の心配性に火がつき、 さらにダンナにいたっては、 心配性に理系のアタマが加わって、 昆虫用のプラケースに奇怪な装備がいろいろと加わっていく。

保温には、電球や、サーモスタット付きペットヒーター等色々買ったが、 ひよこ電球は、一カ所だけ熱くなって危ない上に、プラケースには取り付けられないし、 サーモスタットは、いまいち信じ切れない。
結局、オフィスなどで使う足下パネルヒーターが 3面からまんべんなく暖めることができ、 プラケースからの距離で簡単に温度を調節できるので、これを採用した。
電磁波による輻射熱を考慮して、プラケースにタオルを掛ける。
温度計は、ケースの中はアルコール温度計、外は最高最低水銀温度計でチェック。
キャスター付きの椅子にケースをのせて いつでも良き位置に移動できるようにしてある。
体重計は、キッチンスケールは信用できず、 0.1グラム単位まで計れる正確なものを購入。
梅蔵専用にノートパソコンを一台おろし、 外出時にはWebカメラを設置して(梅カムと命名)、 常に携帯で温度等指さし確認する…等々。

ま、神経衰弱ですよ、ここまでくると。

危うく、電子顕微鏡まで買うところだったんだから。
自分でウンコチェックしたい、とか言ってさ。
あ、これは、今でも欲しい、って言ってるか。