第九段 いららぐ
鳥は病気を隠す、という。
隠すんならともかく、 うちの梅蔵は、病気のくせに、元気すぎる。
毎日毎日、プラケースの中で、大変な暴れようである。
「人を見ると、呼ぶ」 そんなかわいいレベルじゃない。
見つからないようにそーっと通ろうとしても、 まるで脅されているかのような叫び方。
わかるよ、そりゃ。出たいだろうけどさ、 アンタ、病気なんだよ、絶対安静なんだってさ。
と言っても、わかってもらえる訳でなく。
気をそらすべく、 イカの甲羅を入れてみる。
ものすごい勢いで、かじるかじる。 まるで怒りをぶつけているかのようだ。
イカ甲だけに、イカってる、…てね。 はい失礼しました。
それにしても、この子は、 病気の割に、まだヒナのくせに、 昼寝というもんをあんまりしない。