第三十二段 やまひふたたび

梅蔵ちゃんが、うっすらと片目をつぶっている。ようだ。

「なんとなくちゃんと開いてないよね」
とお医者さんに指摘されて気づく。
(しつこいが、セキセイインコの本来の目の大きさなんて、私は知らない。)
抗菌剤の液体目薬を頂いて帰る。
鳥用の目薬なんてないから、人間用を小さいボトルに詰めただけのモノだそうだ。
驚愕。

首から下は元気なのだが、 確かに目に違和感があったようで、 しばらくすると、本当に片目をつぶるようになった。
毎日目薬を差しているものの、 治ったかなと思ったら、今度は反対側をつぶってしまう。
さっっっぱし原因に心当たりがない。
抗菌剤も効いていないようだし、 毎日人工太陽光線を照射しているのに、 治らないということは、 これが限界なのかな、と暗い気持ちになったりする。

前にも書いたが「これさえやれば万事オッケー」というものはない。
何事も、原因というものをきっちり見極めること、 原因に沿った対処法をとることがとても大事である。
思い込みや決めつけで、 一方的に信じ切ったり悪者にしたりすることは、 極力避ける努力をするべきである。

この後、判明する。
この場合、人工太陽光線も抗菌剤も、 効いていないのではなかったのだ。