第三十七段 とどまらず

無事尾羽がきれいに生えそろった梅蔵ちゃん。
一安心である。

さて、
鳥の尾羽というは、如何様な理由により生えているものなのか。
物理的に考えれば、 飛行速度の調節に使われるのだろう、多分。
尾羽を広げれば、空気抵抗が強まって、 着地時の速度をゆるめたり衝撃を弱めたりできる。

この頃から、「モーレツ」な本性を現してきた梅蔵ちゃん。
空母から飛び立つ戦闘機のように 私の頭から、まるでカタパルトでも使用しているかのような加速で出撃し、 体当たりで前頭部辺りに帰還してくる。
ヒトのデコめがけて飛んでくるときの梅蔵の尾羽は「閉じて」おり、 つまり「減速ナシ」なのである。

このように「活発な」性格の梅蔵ちゃん、
お医者様には大いに心配されている。
こういう性格の子は怪我をしやすい、と。

鳥のお医者様なので、 鳥の心配をするのは当然である。
しかし、このような場合、 怪我をするのはむしろ、飼い主なのではないだろうか。
まあ、そうなったら私らは、ニンゲンのお医者に行けばいいんだけどな。
どうせ私ら、人生後方支援だし。

梅蔵ちゃんは、 運動神経もキレており、 トリアタマのくせにそんなに頭も悪くないので、 今のところ、痛い目や怖い目に遭ったことはゼロである。
そのせいか「オレサマは世界一強い」と思っているようだが、 我々の血と汗とかさぶたの後方支援があってこその地位であることを、 せめて忘れないでいただきたい。