第五十四段 ものくさし

多分、これもうちの梅蔵だけ。

愛してやまない梅蔵の恋人、ふうりんちゃん。
頬ずりしたり背中に乗せたり、一方通行なスキンシップを試みているうち、 梅蔵は、ふうりんちゃんに吊り下がっている「丸カン」にクチバシを引っかけて「もぐもぐ」する技を開発した。

ズームで見てみると、ふうりんちゃんそのものをしゃぶっているわけではなく、 単に丸カンに上クチバシを引っかけ、下クチバシを「もぐもぐ」させているだけ。
これは多分、梅蔵的勝手な解釈による「羽づくろい」を転化させた行為ではないだろうか。

「もぐもぐ」するのは結構なのだが、度を知らない梅蔵ちゃん、
お留守番させると一日中「もぐもぐ」している。
それはもう、一睡もせずに。
ふうりんちゃんも驚きのしつこさである。

この「もぐもぐ」行為は、以下のきれいな一連のルーチン作業で構成されている。
@もぐもぐする
A何故かものすごく急いでゴハンを食べに行く
B必ず水を飲む
Cまた急いで戻ってゲロを吐く
D@に戻る
小学校の先生にほめてもらいたいくらいの見事な三角食べである。

仕方がないので、万一を考え、すべてのふうりんちゃんの丸カンを、 アレルギーフリー物質(チタン)に交換した。

面 倒 な 鳥 だ 。