第五十九段 きざし

見えない敵と戦うのは、世界の男の子のお約束らしい。

子どもの頃から、 クラスの男子が誰も頼んでないのに馬場チョップやらウルトラマンビームやらを空中に向かって繰り出しているのが不思議でしょうがなかった。
(いや〜、年代がバレますねえ〜)

長年、テレビの影響?もしくは親の期待?と思っていたのだが、大人になったうちの梅蔵までレンジャーゴッコをやり始めた。
集めた恋人たちを後ろに回して、すごく得意げなんである。
そんなケンカを売られても、 こちとら別にそんなゲロまみれの偽アクセの山なんて欲しくも何ともないし、 無視して通り過ぎてもよいのだが、せいいっぱい虚勢を張った顔がかわいくて、 時々は相手をしてやる。

戦いモノが好きなのは、生き物共通の性差だったんだな〜。