第十四段 くすり
「1年生存率50%」
--これが、今の梅蔵ちゃんのリアルな数字である。
「肝臓ガンのうちの父親だって、
5年生存率50%だったんだけどなあ。
(1年で逝っちゃったけどさ。)」
なんてことがアタマを去来する。
治療法は、特にない。
これも現実。
とにかく温度を35度に保ち、
ご飯には乳酸菌、
飲み水にはビタミン剤を入れ、
そして、「インターフェロンを経口投与」する。
伝染性なので、他のインコとの接触を断つ。
もちろん嫁も取れない。
通院も、一般の診察が終わって、消毒をすませた「伝染病外来」の特別な時間帯で、完全予約。
待合室にすら入れてもらえず、
順番がくるまで思いっきり屋外で待っている。
ほとんどバイオハザード状態である。
仕方ないのはわかっているんだけど、正直ちょっと悲しい。
薬は、耳かき3分の1ほどの微量を5ccほどの水に溶かして、スポイトで飲ませる。
「飲んでくれるかどうかが問題ですねえ」
と、先生は心配してくださったのだが、
生後3週間からほとんど病院通いの梅蔵ちゃん、
生まれてこのかた透明な水っちゅーもんを飲んだことがないので、
インターフェロン入りの水は無色透明で美味しかったのか、
喜んで飲む飲む。
愛犬も腎不全で亡くなって、
今度こそ、天寿を全うさせてやろうと思ったんだがなあ。
なんの因果なんだか。
それにしても、「インターフェロン」を経口投与するってのが、
どうしてもよくわからない。
インターフェロンじゃんね?
それって、口から摂取して、効くもんなの?