第十九段 はつかたり
梅蔵ちゃんが、おはなしを始めました。
生後二ヶ月ちょっと?かな?
男の子なので、おはなしにとても興味があったんだと思う。
おはなし始めは、ある明け方。
つぶやくように、
「………うめちゃ、……うめちゃ、……」
んん?いま、うめちゃん、って言った??
よく、飼育誌なんかには、
鳥に言葉を教えるのは、女性が適している、と書かれている。
女性の方が声が高いので、
鳥的に聞き取りやすく、
結果マネしやすいから、なんだそうだ。
こう見えて(どう見えるんだ)、
うちのダンナは学生の頃放送部だったので、
話し方がはっきりしていて、とてもきれいである。
その辺のちょっとしたナレーターにも負けない。
なんちゃら全国大会でいいところまでいった経験も持つ。
人間の耳に心地よいしゃべり方は、鳥にもわかりやすいのだろう。
うちの梅蔵ちゃんは、
「女性の声の方が反応しやすい」掟に大きく背いて、
私の声でなく、
ダンナの声をマネするようになったのである。
はっきり聞き取りやすかったからこそ、
割と早くに話し始め、おはなしが大好きになったんだと思う。
でもね、おはなしするのはいいんだけど、
声質が、おっさんなのよ。
かわいくないの。
なんだってそんな低い声でしゃべるかな。
毎日耳元でアメ横のおっさんにささやかれている気分。
こんな弊害が出るとは…。
今は、どういう訳か私の声で話すようになったため、
かわいい(?)女声で話す。
でも、私に似て、
とってもとっても早口(泣)。
こんな弊害が…以下略。