第二十二段 はついろ

梅蔵ちゃんに、恋人ができました。

といっても、私らが新しい鳥をお迎えしたわけでなく、
(PBFDなので、そんなことしたらセンセイに殺される)
うちのダンナが、たまたまキオスクで買った ペットボトルの麦茶についていたオマケ、 「リラッ○マ」の小さな風鈴。

ひと目みたその日から、 恋の花が咲いてしまったようだ。

ケースの中に吊してやると、 背中に乗せたり、あごにはさんだり、 それはもう大変な慈しみよう。
あまりにもの溺愛ぶりに、さすがにちょっと心配になったので、 ケースから引き上げてみると、
頬ずりしようとして
「あれ?ない?」
背中に乗せようとして
「あれ?どうしてない?」
を繰り返したので、 不憫になって、拉致した恋人をケースに返す。

まあいい。
だが、ここまで愛してしまったら、 将来、壊れたりなくなったりしたら困る。
ということで、この夏は、近所のスーパーを回って、 風鈴のおまけのついた麦茶を買い占めて回ったのだった。

その後、この「ふうりんちゃん」は、 梅蔵の人生において大変重要な位置を占めることになったため、 ネットでまとめて「大人買い」をするはめになった。

そんなわけで、うちには梅蔵一生分の 「ふうりんちゃん」がある。