第二十九段 まにまに

本を読むのが好きである。
ボーッとしているのが苦手という、暇つぶし的要素が強いのだが、 乱読というか、小説以外なら、それこそシャンプーボトルの裏まで、何でも読む。
(小説は、作者の自己満足な状況設定に付き合わされるのが苦手というのと、 事実でない空想を読むんなら漫画の方がよっぽど高度で面白いので、 余程好きな作家か気になる本以外は、読まない。)

鳥関係の本は、ほとんどすべて読破していると思う。
(犬飼いの時は犬本マイスターだった。)
それは、マニュアルゲット、という意味ではなくて、 情報はいくらあっても、得になることはあっても損にはならないからだ。
比較対照の材料は多いほどいいしね。

どの飼育本を読んでも、 時系列が同じなら書いてあることも似たようなものなのだが、 ひとつ気になる記述に、 「替え歌が好き」というものがあった。
「鳥は、おはなしや歌が大好きですが、 あなたの鳥の名前を盛り込んでおはなしなどをしてあげると、 たいへん喜んで聞き入ります。
また、踊ったりしてあげるのもよいでしょう。」
という趣旨の事が書いてあったと思う。

「ほほう」

梅蔵が主人公の昔ばなしは毎日してやっているが、 歌や踊りが好きとは。
そんなら、飼い主としてここはひとつ、 ひと肌脱いでやろうじゃないか。

というわけで、できあがったのが、 「炭坑節」梅蔵替え歌バージョン。

踊りながらこれを歌ってやると、 必ず左肩に、しかも逆さになって張り付いてくる。
どんなに激しく踊ってもはがれない。
確かに喜んでいるようだが、 世間様に見られたら、ワタシはただの「ヘンなおばさん」だ。
「このおばさんヘンなんですう〜」と志村けんばりにつっこんでもらわないと間が持たない…。

しかし本というのは、なんだってこんな「ヘン」なことを勧めるんだ。
え?なんか違う?
こういうのを、「真に受ける」というのか??